不登校、引きこもり、ニートの治しかた~専門心理カウンセリングで用いられる早期解決の対処法

不登校、引きこもりの専門カウンセリングを行って25年。どこに相談しても解決できない人たちのための心理カウンセラー、天地真理があなたの家庭を立て直します

引きこもり経験者が脱出する方法を教えます

経験者だから治せる?

プロと素人との差は歴然

以前からネット上では、不登校や引きこもりの経験者が自身の体験から、不登校や引きこもりの解決方法をアドバイスします、みたいなサイトはたくさんありました。

それはそれで、不登校や引きこもりの子供を抱えて悩める親御さんたちに、なんらかのヒントとなっていると思いますのでいいことだと思います。


ただ最近では、ホントかウソかわからない不登校、引きこもり経験をウリに解決サポートしますみたいな商売をしている人をポツポツ見かけます。

彼らの理屈では、自分は不登校や引きこもりを克服したから、解決法は心得ていますよ、ということです。


もし本当にそのような経験をしながらも社会復帰し、過去の自分とおなじような悩める人たちの手助けをしたいという真摯な気持ちから支援の仕事を始めたのであれば、その志は素晴らしいと思います。

ただ心理学的見地からするとまともな業者とは思えない、うさんくさいものがあまりにも多いのは気になるところです。


例えば、自分の名前も素性も明かさず、相談の受付はメールか携帯電話だけ、というもの。

これでは怪しいことをたくらんでいますよ、と公言しているようなものです。今どきオレオレ詐欺でも、もっと信ぴょう性をもたれるようなやり方をしています。

これではインチキ業者か、まだ引きこもりからちゃんと抜けだしていないのかの、どちらかとしか思えません。

ただ、このような業者を利用する人はほとんどいないでしょうから、実害はないと思われますのでまだましです。


またこれは経験をウリにしているところ以外の業者やカウンセリングオフィス、フリースクールなどにも多くみられるのですが、HPにはSEO対策(検索で上位に表示されるように操作すること)をしっかり施して、支援内容や体験談など盛りだくさんの立派なページを作っているのに、料金については一切載せていないことがあります。

これもある意味、ボッタクリますよ、と公言しているようなものですが、一般の人はその怪しさに気づきにくいものです。

最近では、誰でもかんたんに起業できる世の中になってきたので、ビジネスの才覚のある人間が、それだけを武器になんの専門知識もない分野に参入してくることが普通になっています。


そのような業者は、最高のモノやサービスを提供することよりも金儲けが第一という考えなので、利用する場合はよくよく検討することが必要です。

何度も言っていますが、不登校や引きこもりの対応はひとつ間違えると一生を台なしにしてしまう危険性があるからです。


ただ、私のようなビジネスの素人からすると、そのやり方は見習うべきものはあると言えるかもしれません。

『お金は問題じゃない。ちゃんと治してくれる、信頼できるところにかかりたいんだ』という人たちが相談に来るため、あせらず余裕をもって対応できるからです。

もちろん親御さんの側からすると、このような業者が本当に治すことができるのか、信頼できるのか、というのはまったくべつの話にはなります。

むしろ、商売第一のこのような宣伝をしている時点でそのサポート内容、実力は推して知るべしという見方をするのがいいとは思います。

実際に良くない話もよく聞きますので、料金をきちんと表示していないカウンセラーや業者には、よほどお金に余裕のある人以外は近づかないほうがいいでしょう。



これ以外にも、経験者をウリにしたカウンセラーやサポート業者は多くいます。

やはり、自分の克服体験をもとに対処法を教えます、ということです。


不登校や引きこもりから立ち直ってカウンセラーの勉強をして開業している人は、まじめな人が多いものです。

ですからそんなに悪質なものはないようですが、ただし、だからといって解決できるというわけではありません。

経験からの対応の限界

不登校、引きこもりの原因や深刻度合いは百人百様です。また、それぞれの家庭環境も違います。

ですから当然、必要な対応もぜんぜん違います。


ふたりの不登校の子にまったくおなじ対応をしても、一方は立ち直り、他方はより深刻化するということは普通にあるのです。

不登校や引きこもりの対応には、精神状態、原因、家庭環境など様々な面から状況を分析して、それに応じた対処をすることが必要なのです。

それを自身のたったひとつの克服体験だけをもとに、いかにもエキスパートになったかのように錯覚して、支援の仕事をしようとしている人がいます。


不登校や引きこもりを自力で克服したというのは、ほんの少しの努力と最大限の幸運がいくつも重なったというだけのことなのです。

先日、北海道の山中に置き去りにされた7歳の男の子が6日ぶりに10キロほど離れた自衛隊演習場の小屋で発見されたというニュースがありましたが、それとまったくおなじです。

男の子はサバイバル術のエキスパートでもなんでもなく、幸運な偶然が重なったこととまわりの人の手助けがあっただけです。ひとつの経験にはなっても、そこになんの技術も知識もありません。
(ちなみに私は、この事件は父親の行き過ぎたしつけというよりも、いま激増中の発達障害の問題であると見ています。これからも、しつけに悩む親と言うことをなかなか聞かない子の間のトラブルは頻繁におこってくるものと思います)


また、外面的に社会に出られるようになったというだけで、精神的にはほとんど改善されていないという人もたくさんいます。

先にも述べたように自分の素性も明かさないままに、サポートします、みたいな商売をしようとしている人などは典型的な例です。心がまだ十分に成長していないのです。


結局、不登校や引きこもりの克服体験は、たったひとつの臨床例でしかないのです。

本当にプロとしての支援、サポートを行うのであれば、最低でも数十の臨床パターンを研究して、技術も身につけなければなりません。

そのうえで何百、何千と臨床経験を積みあげていって初めて、様々なケースへの対処法を身につけたエキスパートになれるのです。


ただ実際には、大学や大学院などでも臨床経験ほぼゼロの先生が引きこもりに関する講義を行っていたりするようなので、そんな大学で学んだ臨床心理士よりも、自身の克服体験というたったひとつの臨床経験でももっている人のほうが、まだましだと言えるかもしれません。

専門の研究者、本物のプロがいないだけに難しいところですね。


いずれにしても不登校や引きこもりの克服体験というのは、しょせんその程度のことでしかないのです。


私がなぜ、それをまで日本で誰もやっていなかった不登校や引きこもりの専門カウンセリングをするようになったのか、その理由はまさに私自身が経験者だからです。

しかし、私はこれまでそのことをホームページにもブログにも一切載せてきませんでした。

それは、上のような理由からなんら技術や実力を裏打ちする要素にはならないからです。

むしろ、そんな自身の克服体験をひけらかして専門家ぶるのは、ちょっと頭の回る人に見られれば、ど素人だと思われてしまう危険性すらあるからです。


そんなわけで、不登校や引きこもりを克服してカウンセラーとしてがんばりたいという人を応援したい気持ちはありますが、技術も知識もないままにカウンセリングやサポートのまねごとをしている人に関してはどうしても批判的になってしまいます。

どんな 経験もマイナスにはならない

これまで不登校や引きこもりの克服体験だけでは、不登校、引きこもりの人たちカウンセリングはできないと述べてきました。

しかし、そんな経験がまったくなんの役にも立たないのかというと、そうではありません。

やはり似たような境遇にいたという経験は相手の気持ちを理解し、心を通じ合わせるのには、とても役に立ちます。


例えば、何年も引きこもって家族ともまともに会話もせず、いろんなサポートの人間が会いに行っても話もできなかったという人が、私が行くとちゃんと話をしてくれた、という例は珍しくありません。

というより、私が会いに行って話せなかった、ということのほうが珍しいぐらいです。

また、家庭内暴力がひどくて家族だけではどうにもできず、暴れたときには警察を呼んだり、避難するしかないような状態の人でも、私には冷静に気持ちを話してくれるというケースもごく普通にあります。


私のところに相談に来られる方は、医師やスクールカウンセラー臨床心理士など様々なところをまわって、どこに行ってもらちがあかず、それどころか、よけいに悪化させてしまって、最後の望みをかけてきたというケースが半数以上です。

そのため、最初からお子さんが私と会話をしたということで、ご両親からは奇跡でもおきたかのように驚かれることもよくあります。

これは専門カウンセラーとして長年培ってきた技術だけでなく、おなじような経験をしたものどうしで通じあうシンパシーのようなものが大きく影響しているのです。

このシンパシーは、不登校や引きこもり、家庭内暴力など子供の問題を解決するために非常に重要なカギとなるので、次回もっと具体的に説明していきます。
とりあえずここでは、心の通じあいが役立っているということだけ理解しておいてください。


そのようなわけで、不登校や引きこもりから立ち直ってカウンセラーを目指そうという人を全否定しているわけではありません。

むしろ、まじめにやろうとしている人には、その経験は最高に役立たせることができるので協力は惜しまないというスタンスではあります。

ですから、こうやってブログやホームページ、電子書籍などで解決に必要な情報はすべて明かしています。


今回このように、中途半端な技術や気持ちで支援の仕事をやろうとしている人に苦言を呈しているのも、まともな技術と知識を身につけて社会に貢献してほしい、そんな思いがあってのことです。

不登校や引きこもりを克服した人たちには、経験というせっかくの宝を活かしてもらいたいと思いますし、現在、お子さんの不登校や引きこもり、家庭内暴力などにお悩みの親御さんには、誤った対処でお子さんやご自身の人生を台なしにしてほしくないと心から望んでいます。