NPO法人にご用心
NPO法人の落とし穴
HPO法人(特定非営利活動法人)というと、多くの人がボランティア団体のようなイメージをもってしまっています。
あるいは、ボランティアとまでは考えなくても、営利目的でなく、世のため、人のために尽くそうとしている人たちがやっている団体、という善意のイメージはもっているでしょう。
しかし実際は、NPO法人というのはなんらボランティアとは関係ありませんし、営利目的でないどころか、金儲けのためにやっている団体がほとんどです。
不登校や引きこもりの支援団体でもNPO法人を名乗っているところは多いものですが、ボランティアでやっているところは、まずありません。
それではなぜ、手間ひまお金をかけてまでNPO法人を取得するのかといえば、先に述べたような誤ったイメージをもっている人がほとんどなので商売がしやすいからです。
もちろん、商売は自由ですし、ホリエモンこと堀江貴文氏のように『稼ぐが勝ち』という考えをもった人が大多数の世の中になってしまったので、使えるものはなんでも使って商売をすればいいと思います。
ただ、そのような商売において、危険性がある場合は、それについて警鐘を鳴らすのは、事実を知るものの務めであるとも思っています。
このようなことをいうのも実は、最近こんなことがあったからです。
商売上手の人間下手
引きこもりのお子さんのカウンセリング先でのことです。
親子の会話はまったくない状態なので、私が仲立ちとなってお子さんの気持ちを伝えるようなかたちになっていました。
そしてある時、7年ほどの引きこもり生活から『人生に楽しいことがなにひとつない』という心境になっている息子さんの気持ちを伝えたところ、お父さんが『USJでも連れて行きましょうか』と言うのです。
私は一瞬、なんのことを言っているのかわかりませんでした。
小学生や中学生でなく、もう30歳にもなる息子さんなのでそんなもので気がまぎれる年でもありませんし、親御さんももちろん遊園地ではしゃぐような年でもタイプでもないので、なぜいきなりそんなセリフがでてきたのか理解できなかったのです。
私の怪訝そうな表情に、お父さんが『まえに支援をたのんだ◯◯(NPO法人)の◯◯さんが、楽しいことがないという子供は、USJでもディズニーランドでもいいので、毎日でも、何十回でも連れて行ってやればいい』と言われたというのです。
あ然としてしまいました。
もちろん、お父さんにではありません。
この◯◯さんにです。
引きこもりの子が人生になにひとつ楽しみを見いだせないのは、アミューズメントパークやスポーツ、趣味、音楽、演劇などの楽しいことの存在を知らないからではないのです。
自分は何もできない
誰よりも劣っていて何の取り柄もない
自分に自信がなくて人とまともに接することができない
そのような絶望感から人生がまっ暗闇になっていて、何をやっても楽しめる心境ではなくなっているのです。
物質的、環境的なものでなく、精神的なものからきているのです。
遊園地に行って楽しいのは、学校や仕事など、日常に自分の居場所がちゃんとあって、たまの休みに非日常の体験ができるからなのです。
人生に行き詰まり、人並のこともできないと劣等感にさいなまれている人間が、人生を楽しんでいる人たちに囲まれて楽しめるはずがありません。それどころか、どこよりも一番行きたくない地獄にすら思えることでしょう。
それをUSJに連れて行けと言うのは、引きこもり対応の素人以前に、知的レベルさえ疑ってしまいます。
NPO法人という政府が与えた大看板を掲げて、いかにも善意の専門家であるかのように装っている人間にそんなことを言われれば、大事な子供のことで思い悩んでいる親御さんが鵜呑みにしてしまうのは仕方ないことでしょう。
さらにここは、職業訓練として自前の喫茶店で、お金をとって仕事をさせるということも行なっているということです。
お金を払って仕事をさせるのではなく、お金をとって仕事をさせるという、史上最強のビジネスモデルですね。
【トム・ソーヤーの冒険】からヒントを得たのでしょうか。
ワタ◯の創業者である渡邊さんに教えてあげたいシステムですね。
とにかく、ルール無用の商売の世界では、平気で人の弱みにつけこんでくる人間は多いものです。
私は、NPO法人を名乗る時点で、まず詐欺や悪徳商法であると疑います。
それぐらい用心して、ようやくまともな人間や団体に出会える感じです。
不登校や引きこもりというのは、一歩間違えると一生を台なしにしてしまう危険性があります。
先に挙げたご家族も、このような金儲けシステムだけで運営しているNPO法人にひっかかったために、解決どころか、よけいに悪化してしまい、そのまま5年も6年もたってしまったという結果になっています。
現在は、ある程度は私と意思の疎通はとれるようになってきて、仕事のほうにも意識が向いてきていますが、やはり、前回のダメージは大きく、本格的な社会復帰にはもうしばらく時間はかかりそうです。
大事なお子さんの不登校や引きこもりといった大きな弱みを抱えている方は、くれぐれも怪しくない(政府認証だとか、NPO法人だとかといった)業者にもご用心ください。