不登校、引きこもり、ニートの治しかた~専門心理カウンセリングで用いられる早期解決の対処法

不登校、引きこもりの専門カウンセリングを行って25年。どこに相談しても解決できない人たちのための心理カウンセラー、天地真理があなたの家庭を立て直します

心理カウンセラーにできること、できないこと

 医師とはなにが違うのか

心理カウンセラーは医師ではありません。
いや、精神科医が心理カウンセリングをおこなうこともあるので例外もありますが、基本的には医師以外の人間がおこなっているのが普通です。
 
ですから、通常は病気を診断したり、お薬をだしたりすることはできません。
 
カウンセリングオフィスに『薬だけ出してほしいんです』などと、病院とかん違いして電話をかける人も多いようですが、わるいことを期待してもダメです。
 
心理カウンセラーは言葉の専門家ですから、薬や外科的処置などはまったくの範囲外になります。
心理カウンセラーと精神科や心療内科の医師との一番の違いは、言葉で治すか、薬で治すかというところですが、詳しくはまた別のページで解説していきます。

心理カウンセラーは言葉のプロ?

それでは心理カウンセラーには、一体なにができるのでしょうか。
 
言葉だけで一体なにができるんだと多くの人は考えていますが、言葉は言霊(ことだま)とも呼ばれるように、あなたが思っている以上に大きな力が宿っています。
 
おおげさでもなんでもなく、言葉だけで人を生かすことも殺すこともできるぐらいです。
 
たとえば、悲しいことに学校でいじめられて自ら命を絶ってしまう子が後を絶ちませんが、その大半は肉体的な暴力よりも言葉や態度によるいじめが原因なのです。
そして、自殺まではしないもののいじめによって心を病んでしまったり、対人恐怖症などの神経症を患ったりして、まともな社会生活ができなくなってしまう人もたくさんいます。
 
また子供だけでなく大人になってからでも、職場の人の心ない言葉から神経症を患ったり、うつになってしまったりする人もいます。
 
このように言葉というのは、肉体的な暴力以上に人を傷つける力をもっているのです。
 
言葉の威力を理解していただくためにあえて悪いほうの例をあげましたが、言葉というのはこれほど強力な力をもっているのです。
そして、そんな言葉のパワーを人を生かすほうに利用しようというのが心理カウンセリングなのです。
 
それでは、具体的には言葉によってどのように人を生かすことができるのでしょうか。
心理カウンセリングとしてカウンセラーができることは、おもにつぎの3つがあります。
 
ひとつは、安心感や心地よさを与えて心の癒しを提供すること。
ふたつ目は、傷ついた心や病んでしまった心を治すこと。
そしてみっつ目は、生活(人生)のクオリティをあげるための心や意識の使い方をアドバイスすることです。
 
ただし、大半の心理カウンセラーは一番目の癒しを与えるための傾聴カウンセリングしかおこなっていないので、2つ目、3つ目の目的でカウンセリングを受けたい方は、それぞれの専門知識をもったカウンセラーにかかる必要があります。
 
そこで心理カウンセラー探しの目安にしていただけるよう、さきに挙げた3つのカウンセリングについて順に解説していきましょう。

心を癒す心理カウンセリング

前にも述べたとおり、日本では相談者の心を癒す傾聴という技法が現在の心理カウンセリングの主流を占めていて、大半のカウンセラーがこれをおこなっています。
 
これは心理カウンセリング先進国のアメリカでも同様です。
というより、アメリカの心理カウンセリングがそのまま日本に輸入されて普及してしまったと言ったほうがいいでしょう
 
先進国の技術がそのまま受けられるというと素晴らしいことのように思われるかもしれませんが、残念ながら現実はそうではありません。
 
と言うのも心理カウンセリングは、おなじ人間を対象としたものでも外科医療とかダイエット法とかとちがって、そのまま日本にもってきてもそれが通用する世界ではないのです。
 
肉体の構造は人種によってそれほど違いはありませんが、心のほうは住んでいる地域の環境や文化によっておおきく違ってくるからです。
 
そんな違いから、日本の心理カウンセリング界でどのような問題が起きているのか、具体的に説明しましょう。
 
まずアメリカでの心理カウンセリングは、テレビドラマなどでもよく見られるように、離婚したとか、事故や犯罪にまきこまれて心にトラウマを負った際に利用されることがほとんどです。
 
要するに、心の癒しが必要とされるときに心理カウンセリングが用いられるのです。
 
ですから相談者の話をじっくりと聴いてあげて、心にたまった不安、恐怖、不満、怒りなどをすべて吐き出させるという傾聴カウンセリングが有効なのです。
 
それに対して日本では、離婚のショックを和らげるために心理カウンセリングにかかる人はほとんどいません。
 
また事故はともかく、犯罪に巻きこまれる割合はアメリカに比べると格段に低いうえ、万一そのような悲劇に見舞われてもそこから立ちなおるために心理カウンセリングを利用しようという文化は根づいていないので、そのような人もほとんどいません。
 
要するに、日本人には心の癒しを得るために心理カウンセリングにかかるという意識はないのです。
 
それならば、一体どのようなケースで日本人は心理カウンセリングのオフィスを訪れるのでしょうか。
 
ひとつは神経症やうつなど、心を病みかけたり、病んでしまったりしたときです。
言うなれば、治療効果を期待する民間療法的な利用の仕方です。
 
そしてもうひとつは家族の問題、とくに子供の不登校や引きこもりの問題をかかえてしまったときです。
 
実際に、このふたつのケースで心理カウンセリングの利用者の大半が占められています。
 
そして、残りのほんのわずかな利用者のなかに、心の癒しを求める人と、生活(人生)のクオリティをあげたいという3つ目の目的をもつ人とがいるという感じです。
 
ですから、文化的に日本では治すための心理カウンセリングが圧倒的に必要とされていて、次点で生活(人生)を変えるための心理カウンセリングと傾聴カウンセリングが求められているというかんじです。
 
にもかかわらず、心理カウンセリング後進国の日本では心理カウンセラー自身もそのことを知らないため、治療を求める人に一時の癒しを与えるような的はずれなカウンセリングをおこなっていることがそこかしこで見られます。
 
心理カウンセリングを受けたことのある人の感想の大半が、
「ただ話を聞いてもらっただけで、何の解決にもならなかった」
というもので占められているのには、そんな理由があるのです。
 
ただ、それだけなら心理カウンセリングというもの自体の評価が下がるだけで、とくに問題というほど大ごとではありません。
 
問題なのは適切な対処がなされず、症状を深刻化させてしまったり、手遅れにさせてしまったりするケースがあとを絶たないことです。
 
神経症でも、摂食障害のように命にかかわるものもあります。
また不登校や引きこもりのケースでは、延々と解決されないままに時が過ぎて、人生が取り返しのつかない状態になってしまうこともあります。
 
もちろんどちらも傾聴カウンセリングで解決できるものではないのですが、いま現在でもそれをカウンセラーが知らないままに対応しているケースがほとんどで、症状を深刻化させたり、手遅れになったりする人が量産されています。
 
さらに不登校や引きこもりのケースでは、より事態は複雑です。
 
と言うのも不登校や引きこもりというのは、日本以外ではほとんどみられない日本特有の文化的症状なので、その正しい対処法は日本で専門的に臨床研究をしているカウンセラーしか知らないのです。
 
そのため、あるカウンセラーは自分から話をするはずもない不登校や引きこもりの子を相手に傾聴カウンセリングをおこなおうとして、二人ともおし黙ったままで1時間過ごしてしまったというようなマンガのようなことをやっていたり、またあるカウンセラーは親御さんに対して、「お子さんが自発的に動きだすのを待ちましょう」と、親御さんのほうを対象としたカウンセリングをおこなったりしています。
 
親御さんが悩みから解放されて心から安心できるには、悩みのおおもとの原因である子供の不登校や引きこもりが解決する以外ないのですが、親御さんのほうも自分の気持ちを吐き出して一時的に楽になることでカウンセリングにはまって通い続けて、そんなことをしているうちに子供のほうは手遅れになってしまうというケースも少なからずあります。
 
効果のある傾聴カウンセリングが事態をより悪化させてしまうというなんとも皮肉なオチですが、そのような悲劇にあわないためにも、心理カウンセリングを利用しようとする際は、ご自身の目的とカウンセラーの提供できるカウンセリングとが合っていることを事前に確かめる必要があります。
 
そんな助けになるよう、残りのふたつのカウンセリングを解説していきましょう。

心を治す心理カウンセリング

治す心理カウンセリングというのは、むしろ心理療法と言ったほうがいいかもしれません。
両者の違いについては、【心理カウンセリングと心理療法の違い】で解説していますが、簡単に言えば、通常の社会生活に困難をきたすほどの神経症などを対象としたより治療的なカウンセリングが心理療法になります。
 
ただ、この治すカ心理ウンセリングにはもうひとつ重要な対象ケースがあります。
それは不登校や引きこもりです。
 
不登校や引きこもりの人たちは、勉強がいやとか働くのがいやといったような単なる甘えからきていることはほとんどなく、対人緊張や視線恐怖、摂食障害自傷行為、ネット依存など様々な心の病をかかえていることがほとんどです。
 
また最近では、発達障害からくる不登校や引きこもりも急激に増えています。
 
ですから不登校や引きこもりのケースには、不登校や引きこもりを解決するための専門知識と神経症などを治すための心理療法の技術の両方が必要になります。
 
これが心を治すための心理カウンセリングですが、主なものには精神分析催眠療法認知行動療法、家族療法があります。
そのほかにも道具を使うものに箱庭療法アートセラピー、演劇療法などがあり、日本発祥のものには内観療法森田療法などがあります。
 
さらに催眠療法をアレンジしたものにインナーチャイルドセラピーというものもあり、これは幼少期のトラウマを解消するのに用いられます。
 
それぞれの心理療法については改めてくわしく解説していきますが、私が実践しているものに関しては、私のサイトのそれぞれのページをご参照ください。
 
催眠療法
認知行動療法
インナーチャイルドセラピー

人生の質を高める心理カウンセリング

一般的に心理カウンセリングは、心の問題でふつうの生活が困難になっている人が、健全な生活を取り戻すために利用することがほとんどです。
 
しかし、西洋医学にも健康を回復させる医療と肉体を見栄えよく整えるような美容医療とがあるように、心理カウンセリングにも心の健康を回復させる技法のほかに生活のクオリティをあげるための技法もあるのです。
 
主なものとしては3つあります。
 
ひとつは、スポーツや競技のためのメンタルコントロールです。
 
欧米では昔からスポーツにおけるメンタルコントロールの重要性が知られていて、オリンピック選手やプロスポーツ選手のあいだでも広く取り入れられてきました。
 
そして日本でも、最近になってメンタルコントロールの効果が認識されてきて積極的にトレーニングを取り入れるスポーツ選手も出てきました。
 
このようなスポーツにおけるメンタルコントロールについては、また別の機会に詳しく解説していきます。
 
それから2つ目は、仕事のストレスを解消したり、良好な対人関係を築けるようにしたりするための心の使い方をアドバイスする心理カウンセリングです。
 
気持ちのもちようは、スポーツや競技だけでなく、仕事においてもおおきな影響を与えてきます。
いやいや仕事をするのか、前向きな気持ちで仕事をするのかによって効率は全然ちがってきますし、ストレスをポジティブな力に変えることで、より良い仕事につなげることもできます。
 
このように、自分の能力を最大限に発揮していま以上の最高の結果を求めたいという人の希望にこたえる心理カウンセリング技法もあります。
 
そして3つ目は、上に説明したスポーツや仕事といったひとつの分野だけでなく、人生全般において望むような結果を手に入れたいという人のための心理カウンセリングです。
 
人生に大きな影響を与えるものに『運』があります。
人の何倍も努力したり、あるいは、人よりもかなり優れた才能をもっていたりするのに、運が悪いために人並み以下の結果しか出せない、という人はたくさんいます。
 
あるいは、なに不自由のない暮らしをしていたのに、ある日突然なにかの不幸や災難に見舞われて人生が台無しになってしまう、ということもあります。
 
大抵の人は、そのような不運にさらされると「運が悪かった」とあきらめるか、なんとか状況を改善しようと、さらに努力を重ねるか、という行動をとるでしょう。
 
しかし心理学では、運も心の使い方しだいでコントロールできると考えられています。
そして、もちろんその方法もいくつかあります。
 
ですから、運が悪くて人生がうまくいかない人も、そこそこ順調な人生を送っている人も、今以上に運をよくして、自分の理想とする人生を創りあげることが、心理学の技術と知識を活用することで可能になるのです。
 
そんな方法をアドバイスする心理カウンセリングもあるのです。
 
 
ここで紹介したような生活(人生)のクオリティをあげるための心理カウンセリングはまだまだ少数派ですが、心理学に興味をもつ人が増えつつある現状ですので、このような変わり種の心理カウンセリングも徐々に増えてくることと思います。
 
3つ目の運を良くして理想とする人生を創るための方法については、こちら【人生のしくみはこうなっている】で詳しく解説してあるので、人生を変えたい、開運したいという方は、ぜひご参照ください。
 

まとめ

  • 心理カウンセラーは病気の診断や投薬治療はしない
  • 心理カウンセリングには様々な技法、種類があり、それぞれのカウンセラーによってできること、できないことがかなりちがってくる。
  • 一時の癒しを与えるカウンセリングと根本から悩みを解決させるカウンセリングとがある
  • 生活(人生)のクオリティをあげるためのカウンセリングもある