心理カウンセリングと心理療法の違い
定義は人それぞれ
心理カウンセリングと心理療法とは、厳密な定義の違いがあるわけではありません。
心理療法というのは、心理カウンセリングの一種であると言えます。
逆に心理カウンセリングは心理療法のうちのひとつの技法であるという場合もあります。
これはカウンセラー個人個人で心理カウンセリングや心理療法に対する考えかたが異なっているからです。
ただ、そんなあいまいなままでは解説するにも不自由なので、このブログでは私なりの定義を紹介しておきたいと思います。
私は、【対象とするお悩みや症状】と【使用する技法】のふたつの面から、両者を定義分けしています。
お悩み、症状別の定義
お悩みや症状で言うと、次のとおりです。
心理カウンセリングのひとつの役割は、仕事、恋愛、夫婦関係、子育て、その他対人関係のトラブルや悩みに対して、それらにうまく対処できるように心の持ちようや使いかたをアドバイスするというものになります。
それからもうひとつの役割は、精神的なつらさや苦しさをうったえる人に対して、それらをうまく解消できるよう導いていくというものです。
それに対して心理療法は、治療的側面のつよい心理カウンセリングと言えます。
ですから精神的な症状にとどまらず、肉体的不調まで引き起こしている人、日常生活に支障をきたしている人、まわりの人におおきな負担や迷惑をかけている人などに対する心の治療となります。
ようするに、悩みや症状のかるいケースは心理カウンセリング、おもいケースは心理療法で対応するということになります。
カウンセリング技法による分け方
施療に用いる技法についていえば、心理カウンセリングは主に『傾聴』や『説得』、『アドバイス』ということになるでしょう。
臨床心理学の世界では、この中でも『傾聴』が最高の技法とされています。
理由はまた別のページで説明しますが、そんなコンセンサスがあるため心理学の最高資格(?)と言われる臨床心理士も、この傾聴カウンセリングしかしらない、できないという人が大半となっています。
しかし実際は、この傾聴は離婚のショックとか、対人関係の悩みといったような軽い段階の悩みにしか効果を発揮しないので、全国的に【心理カウンセリング=傾聴】という認識が広まってしまっている現状で適切な更生の機会を失い、症状を悪化させられてしまうという人たちも増えています。
この問題についても別の項でお話します。
他方、心理療法の技法は細かく分けると100以上あり、ピンキリなので、それはそれでややこしい状況ではあります。
ですから、一概にどれが良い悪いということは言えませんが、基本的に深刻な症状に対して効果がたかいのは、潜在意識(無意識)に働きかけるヒプノセラピー(催眠療法)のようなものです。
なぜならば、心理療法を必要とするほど深刻な症状の人は、顕在意識(物事を考えたり、感じたり、判断したりする意識)の理性では止められないほど潜在意識が暴走してしまって、自分で自分をどうにもできない状態になってしまっているからです。
自分で自分の行動や言動がコントロールできない、人の言うこともまともに理解できない、判断できないという状態です。
このような症状は潜在意識の異常から起こっているので、その治療にはやはり潜在意識に働きかけることが必要になってきます。
心理カウンセリング、とくに傾聴は、あくまでも顕在意識(物事を考えたり、判断したりする通常の意識)に働きかけるものなので、こういった症状にはまったくと言っていいほど効果はありません。
心理カウンセリングと心理療法の違いをまとめると、以下のようになります。