心理カウンセリングと心理学の関係は?
心理学というのは、人間の心の働きや心から生じる行動や身体的反応に関して研究する学問です。
もっとかんたんに言えば、『なぜ、そういうことをするのか』ということを考える学問ですね。
心理学は、もともとは精神医学的な分野で研究がなされてきたのですが、いまでは医学のみならず、教育、経済、産業といったあらゆる人間の活動において研究がなされていて、さらにそれぞれの分野でもより細分化されて研究されています。
例えば、産業全般に関する人間心理を研究する産業心理学では、次のようにあらゆる角度から人間心理が研究され、その心理コントロール技術が確立されています。
- 労働者が心地よく、効率的に作業できる環境作り
- 会社組織をうまく運営するための社員のマネジメント法
- 上司や部下といったそれぞれの立場からの仕事への取り組み方、心構え
- それぞれの業種に応じた営業マニュアル
- 消費者の行動分析
このように産業のあらゆる場面での人間心理を研究して、最善の結果を出せるようシステムづくりをするのが産業心理学です。
ただし産業心理学だからといって、医学や教育などほかの心理学と無関係かというとそうではありません。
例えば、労働環境を良好なものにするために社内や工場内の内装や配色を変えることがありますが、これは色彩心理学の応用になります。
この色彩心理学は、経済活動である飲食店の看板や内装などに当たり前のように利用されています。
また、教育の分野でも教室などの配色にも応用可能ですし、病院の内装などにも応用することで、健康回復効果も得られます。
このようにひとつの分野の研究が経済、産業、教育、医学など他の多くの分野で効果的にもちいられることは珍しくありません。
これは色彩心理学だけでなく、発達心理学、認知心理学、行動心理学、犯罪心理学など、ほとんどの◯◯心理学というものについても同じことが言えます。
人間の心理、すなわち心の動きは、ほぼすべての活動についてまわるわけですから、当たり前と言えば当たり前。
それをカテゴライズすること自体がむしろ無理があるということだとも言えるでしょう。
ただ学問として研究、解説するときに名称がないと不便なので、それぞれの名前や分類は便宜上つけていると考えてもらってもいいでしょう。
人間の心身の健康を扱う臨床心理学
というわけで、心理カウンセリングと心理学との関係を説明するために、ここでは心理学を大きくふたつに分けておきたいと思います。
ひとつは臨床心理学、もうひとつは一般心理学です。
臨床心理学というのは、精神的、肉体的、社会的な悩みをかかえていて日々の生活に困難をきたしていたり、つらさや苦しさを感じたりしている人の心理状態を改善に導くものです。
ようするに治療や癒しに用いる心理学です。
そして一般心理学とは、それ以外の心理学全般を指します。産業心理学や犯罪心理学、消費行動心理学など、健康面に関係のない分野での心理学の総称です。
おおざっぱな分けかたにはなりますが、これが心理カウンセリングと心理学との違いでもあるのです。
どういうことかと言うと、心理カウンセリングというのは、臨床心理学の技術と知識で個々の相談者の悩みを解消したり、生活の質を向上させたりするものになります。
ですから、ひろい意味では心理療法も心理カウンセリングのなかに含まれます。
そして心理学は、そんな臨床心理学と一般心理学とを合わせたものすべてということになります。
まとめ
心理学=臨床心理学+一般心理学
心理カウンセリング=臨床心理学
心理学は人間心理全般を研究するもの
心身の健康を扱うものを特に臨床心理学という